2021年3月31日付の熊日に掲載されました。
高校生の発想光る
ツアー提案、おせちパック、竹活用・・・
菊池川流域8校 実現へ検討も
菊池川流域の高校生たちが3月上旬、地域活性化を狙って観光振興や食品開発などのアイデアを発表した。龍ウイキ共通の資源を活用したり、課題解決につながったりするユニークな発想もあり、提案の一部は実現を目指して検討される見込みだ。
生徒たちが発表したのは、菊池、山鹿、玉名、和水の3市1町や流域の市民団体、県などでつくる「菊池川流域の恵み体験協議会」が開いた「高校生サミット」。若者にまちづくりを担ってもらおうと初めて企画し、山鹿市で8校の生徒有志が参加してあった。
このうち、鹿本高2年の瀬戸楓さんら8人は、県観光統計などをもとに山鹿市の観光振興策を検討。「市内は日帰り客が多く、消費単価が高い宿泊客を増やすことが重要だと考えた」と説明した。
同統計などによると、2017年に同市を訪れた観光客(396万人)は日帰り中心で、宿泊客はわずか8%。宿泊客の内訳は福岡県が31%、次いで熊本県の15%だった。
この状況に、8人は「宿泊や飲食代などで消費を伸ばせる余地があると感じた」として、両県の30〜50代女性の個人客をターゲットにしたツアーを提案。人気の平山温泉を宿泊地に、豊前街道沿いのレトロな町並みや菊鹿ワイナリーを巡るコースを発案した。
8人は発表に先立って市内各を視察。公衆トイレの掃除不足に気付き、「誘客の妨げになる」と清掃イベントを企画した。新型コロナウイルスの影響もあるが、4月以降似実施を目指している。
協議会は「他校も清掃に加わり」、互いに刺激を受ける機会にしたい。高校生が自分事として、まちづくりを考える機運が芽生えつつある」と歓迎する。
農業高からは、食品開発に関する発表が相次いだ。鹿本農高2年の竹崎郁美さんら3人は、流域特産の食材で栗きんとんなど11品の「おせち料理」を作り、1品ずつ真空パックで販売するアイデアを披露した。
校内調査で、生徒の4割の家庭が正月におせちはなく、あっても食べない生徒が多く、思いついたという。
菊池農高2年の渡辺琉聖さんら7人は、荒廃した竹林の増加で、イノシシによる農業被害や、土砂崩れの危険性が高まっていることに着目。竹を粉末にして練り込んだクッキーや、タケノコを具材にした肉まんの商品化を考案。「竹資源の活用方法を増やし、古里を守りたい」と訴えた。
同協議会の前垣芳郎会長(72)は「素晴らしい発想に驚いた。アイデアの一部は実現させたい」と意気込む。具体的な検討に向け、5月にも参加校の生徒らで集会を開く予定だ。
(猿渡将樹)
Comments